白い滓

…………どうしたんだろう、私。

 

線画でラフに描かれた景色が、次第に描き足されていき、

気がつくと、見慣れた職場がフルカラーで目の前にある。

 

時計の針は、いつの間にか午後5時前。

私は……私は、さっきまで何をしてたのだろう。

 

松田君と一緒に、八神部長が外出から帰っていらして、

その後の1時間余り、鋏で切り抜いたように記憶がない。

 

仕事していかった筈はないのに、まるで夢遊病みたい。

化粧崩れが気になって、こっそり手鏡の中を覗き見た。

唇の端にこびりついてる、この白い滓はなに……?