2011-10-01 白い滓 唇 …………どうしたんだろう、私。 線画でラフに描かれた景色が、次第に描き足されていき、気がつくと、見慣れた職場がフルカラーで目の前にある。 時計の針は、いつの間にか午後5時前。私は……私は、さっきまで何をしてたのだろう。 松田君と一緒に、八神部長が外出から帰っていらして、その後の1時間余り、鋏で切り抜いたように記憶がない。 仕事していかった筈はないのに、まるで夢遊病みたい。化粧崩れが気になって、こっそり手鏡の中を覗き見た。唇の端にこびりついてる、この白い滓はなに……?